激甘バーテンダーは、昼の顔を見せない。
ベッドに寝かされ、そっと身体を撫で回される。
温かな東郷さんの手は、私の隅々まで触れていく。
時刻は深夜2時25分。
こんな真夜中なのに。
眠気などは一切無くて、いつになく目が冴えていた。
優しく重ねられる唇。
軽く啄むようなキスを繰り返し、次第に舌が侵入してくる。
静かな部屋に響く水音。
それがまた、私の興奮を高める。
「藤山光莉とは…どこまでしたのですか」
「どこまでって、一応…婚約者でしたから…その…」
「愛されていると思えないその行為を、最後までってところですか。…多分、西野さんに向かわなかった愛。全部、鷹宮梨香子に向かっていたと思いますけど」
「………」
歯に衣を着せぬその言い方に驚いた。
けれど…本当にその通りだと思う。
嫌でも脳内でリピートされる光莉さんの言葉。
『申し訳ないけれど。綾乃さんは、2番目に愛そうと思う』
多分、出会った頃から…光莉さんの中ではそれが全てだったのだから…。
「……そうですね。東郷さんの言う通りです」
目に涙が浮かんでくる。
次第に溢れ出るそれを、東郷さんは口で受け止めた。
「そんな人の為に涙を流すのは無駄ですよ…。俺なら貴女に、哀しみの涙は流させません…」
今度は優しく激しく、唇を重ねる。