激甘バーテンダーは、昼の顔を見せない。
今日もまた、東郷さんと空き部屋のあるホテルに来た。
ベッドに腰を掛けるなり、どちらからともなく唇を重ね合う私たち。
「…東郷さん…」
「西野さん…」
貪るようなキス。
お互いの身体を撫で回しながら、蕩けそうな熱い唇に溺れる。
以前と違いお酒が入っている私。
理性を飛ばすのに…そう時間は掛からなかった。
「西野さん、愛しています。可愛い、可愛い西野さん…」
「東郷さん…もっと、もっと激しく愛して下さい…」
「勿論ですよ…。嫌だと思われるくらい……貴女を愛します」
素面の私が知ったら発狂しそうな恥ずかしい言葉。
そんな言葉を零しながら、夢中で東郷さんのその手つきに酔う。
愛されたいと願った、【西條綾乃】。
今の私は【西野聖華】だけど
それでも……満たされて、嬉しくて、胸が熱くなる。
これまでは何だったのか。
そう思えるくらい、東郷さんとの行為に夢中になった。
「西野さん……良いですか」
「…はい、東郷さん」
東郷さんが欲しくて、どうしようも無い思いが溢れる。
「東郷さん…好きです」
思わず零れた、言葉。
東郷さんは一瞬驚いた表情をした後、優しく微笑んだ。
「西野さん、俺も好きです…」
激しく、でも優しく、唇を重ねる。
今日も私は…東郷さんの全てを、ありのまま受け入れた。