激甘バーテンダーは、昼の顔を見せない。




幸福感に包まれる中…また私は、懐かしい夢を見た。





前もそうだった。

13年も前の…高校時代の…記憶。





「西條さん…」
「ちょ、◾︎◾︎先生…止めてください!」


私【西野聖華】を、西條産業開発の社長令嬢【西條綾乃】だと見抜いた、担任の◾︎◾︎先生。

2人きりで、周りに誰も居ない状況になると◾︎◾︎先生は私を【西條綾乃】と呼んだ。


「私が積み上げてきたもの、壊そうとしないで下さい。本当に、本当に嫌です」
「……いや、俺には分かるんです。貴女の気持ち」
「…え?」
「西條さんほど露骨ではありませんが、俺も…似た様なものですので」
「……どういうことですか…」


それ以上、◾︎◾︎先生は自分のことを語らなかったけれど、何だかその頃から、私との距離感が変わったような気がした。


だからといって、それ以上何かあったのかというと
何も無かったけれど…。






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