友達のままで
 数日後、気持ちを後押しするかのように、茉優が持ち掛けてきた翌月のバーベキューの計画を、睦美は二つ返事でOKした。勿論楽しかったからというのもあるが、一番は昴に会いたかったからだ。
 そうして、月一回のペースで皆と集まるようになった。夏は海でのバーベキューや花火大会にも行った。秋はドライブと旬の食べ物巡り、冬は初めてスノボにもチャレンジした。回を追うごとに新しいメンバーが加わり徐々に人馴れしていく自分に気付いた時、きっかけを与えてくれた茉優に感謝した。

 毎回参加していた昴とは連絡をよく取り合うようになり、数ヶ月の間でかなり親密になっていた。
 皆で集まれば、睦美が昴の隣を陣取った。昴のお気に入りのビールの銘柄も覚えたし、よく物をなくすおっちょこちょいな昴の手荷物を預かるようになり、寒くなれば昴の上着を羽織った。初対面のメンバーからは恋人同士に見られていたが、実際は違った。
 人当たりが良くて誰に対しても優しい気遣いが出来る昴が、他の女の子と話していることに、笑い合っていることに、肩に触れていることに嫉妬している醜い自分に嫌気がさした。

 昴といるといつも楽しくて、ずっと笑顔で過ごせるような気がした。
 ずっと一緒にいたい。どうしても昴の一番になりたい。
 そんな欲を出してしまったのがいけなかったのかもしれない。
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