友達のままで
「友達ってさ、一生もんだと思うんだ」

 いつにも増してテンションの高い昴が熱く語っていたのは、レンタルスペースを借りてクリスマスパーティーをしていた時だった。

「言い方悪いかもしんねえけど、恋人なんて別れたら終わりだろ? 睦美もそう思わない?」
「まあ、確かにそうかもね」
「だから、俺は友達を大事にしたい」
「だよね……」

 共感したものの、睦美は昴の言葉が心に引っ掛かっていた。

 年が明け、一月半ばに新年会で集まった居酒屋で、隣に座っていた昴が何となく落ち着かない様子を見せていた。

「昴、どうかした?」
「いや、別に何もねえよ」

 そうは言うものの、明らかに昴の箸は進んでいなかった。
 ふと視線を感じて振り向くと、昴が唐揚げを箸で掴みながら視線を向けていた。

「付き合う?」
「うん、食べる~」

 笑顔でそう返して、睦美は大きく口を開けた。

「いや、違う」
「え?」
「付き合う?」
「……えっ!?」
「俺と。……嫌?」

 昴がいつになく不安げな表情を覗かせた。
 意味を取り違えていたことに気付いた睦美は慌てて首を横に大きく振った。
 昴の表情から安堵感が窺えた瞬間、今までずっと抑えていた感情が溢れ出した。
 睦美はテーブルの下で昴と指を絡め、肩が触れ合う距離よりもっと近く、ぴったりと寄り添った。
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