【短】こんな今日も、悪くない。
声が低くなった。
といってもあまり低すぎない、それもまたアンニュイ男子を象徴してくるものだ。
「あと、小野さんも」
なにが最低なの。
いいことばかりしてるよ、私。
常に、毎日だよ。
優しすぎるってくらい、相手に尽くしてる。
「ただ自分が傷つくのが怖くて、嫌われるが怖くて守ってるだけでしょ」
でも、そういうものじゃない?
みんなそうしてるんじゃない?
どこかに所属しないとやっていけないじゃん。
自分にしかないポジションを作らないと、簡単に捨てられちゃうでしょ。
「そりゃ返ってこないよ。優しさじゃないし、そんなの。ほんとは自覚あるくせに続ける小野さんも小野さん」
「…優しさじゃないって、」
「もしそいつらが殺人を犯してても、小野さんはそいつらとの関係が壊れる怖さを取ってヘラヘラしてるってこと」
「っ、」