エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
善次郎は軽やかな足取りでリビングを出ていった。ふたりきりになるとすぐに、晴馬が大きなため息をつく。
「美月、忘れてるだろ」
「え、なにを?」
「寝室。ゆうべ偽装工作したこと」
「……寝室……え、あぁ!」
彼の言うとおり、すっかり失念していた。普段は晴馬の部屋と美月の部屋がそれぞれあるのだが、万が一善次郎に見られても大丈夫なようにと、ゆうべ美月のベッドは晴馬の部屋に動かしたのだ。晴馬の部屋がふたりの寝室に見えるように。
「どうしよう。おじいさまがお風呂に入っている隙に戻す?」
「ガタガタしてたら怪しさ満点だろ」
「たしかに。だ、大丈夫よ。とりあえず晴馬の部屋で一緒に眠るふりをして、おじいさまが寝た頃に私がお布団だけ持って移動するから」
晴馬はふぅと息を吐く。
「美月がそれでいいなら、まぁ」
疲れたと言っていたわりに、意外なほど夜更かしな善次郎に「おやすみなさい」を告げたのは夜十時。美月は晴馬と一緒に彼の部屋に入る。
ぴったり隣に並んだベッドが妙に生々しく、無意識に顔が熱くなった。
「おやすみ」
「う、うん」
晴馬のパジャマ姿なんてすっかり慣れたつもりだったけど、この状況で見ると……ダダ漏れる色気がすごくて直視できない。
オレンジ色の淡い照明に照らされた部屋、手を伸ばせば届く場所に彼の大きな背中があった。
(どうしよう、やっぱり緊張してきちゃった)
「美月」
「美月、忘れてるだろ」
「え、なにを?」
「寝室。ゆうべ偽装工作したこと」
「……寝室……え、あぁ!」
彼の言うとおり、すっかり失念していた。普段は晴馬の部屋と美月の部屋がそれぞれあるのだが、万が一善次郎に見られても大丈夫なようにと、ゆうべ美月のベッドは晴馬の部屋に動かしたのだ。晴馬の部屋がふたりの寝室に見えるように。
「どうしよう。おじいさまがお風呂に入っている隙に戻す?」
「ガタガタしてたら怪しさ満点だろ」
「たしかに。だ、大丈夫よ。とりあえず晴馬の部屋で一緒に眠るふりをして、おじいさまが寝た頃に私がお布団だけ持って移動するから」
晴馬はふぅと息を吐く。
「美月がそれでいいなら、まぁ」
疲れたと言っていたわりに、意外なほど夜更かしな善次郎に「おやすみなさい」を告げたのは夜十時。美月は晴馬と一緒に彼の部屋に入る。
ぴったり隣に並んだベッドが妙に生々しく、無意識に顔が熱くなった。
「おやすみ」
「う、うん」
晴馬のパジャマ姿なんてすっかり慣れたつもりだったけど、この状況で見ると……ダダ漏れる色気がすごくて直視できない。
オレンジ色の淡い照明に照らされた部屋、手を伸ばせば届く場所に彼の大きな背中があった。
(どうしよう、やっぱり緊張してきちゃった)
「美月」