エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
その言葉の持つ威力に美月は打ちのめされる。晴馬はいつどうなってもおかしくない仕事についている。その事実と向き合うのが恐ろしかった。美月の表情がこわばったのを見て、伊沢は慌てて言葉を続ける。
「いや、申し訳ない。怖がらせたかったわけじゃありません。そういう危険な仕事だからこそ、家族や恋人の支えは大きいんです。だから――」
彼は美月を見て、ほがらかに笑む。
「どうか、北原の力になってやってください」
(私は晴馬の、家族でも恋人でもない……)
ツキンと胸が痛み、美月は曖昧な笑みを返すことしかできなかった。
ちょうど会話が途切れたところで、診察室の扉が開いて晴馬が出てくる。
「晴馬っ」
美月が駆け寄ると、彼は優しい笑顔を返してくれた。
「心配かけて、ごめんな」
ちゃんと歩けているし、喋れている。安堵の気持ちがあふれて、思いがけず瞳が潤む。
「……かった。よかった」
晴馬はそっと手を伸ばし、美月の涙を拭う。
「俺は大丈夫だから。安心して」
美月がうなずくと、彼は今度は伊沢に顔を向けた。
「伊沢さんも、すみません。当番明けだったのに、ご迷惑をおかけして」
「いいんだよ。どうせ非番で遠出もできないし、気にするな」
美月もあらためて彼に頭をさげた。
「本当にありがとうございました」
「いや、申し訳ない。怖がらせたかったわけじゃありません。そういう危険な仕事だからこそ、家族や恋人の支えは大きいんです。だから――」
彼は美月を見て、ほがらかに笑む。
「どうか、北原の力になってやってください」
(私は晴馬の、家族でも恋人でもない……)
ツキンと胸が痛み、美月は曖昧な笑みを返すことしかできなかった。
ちょうど会話が途切れたところで、診察室の扉が開いて晴馬が出てくる。
「晴馬っ」
美月が駆け寄ると、彼は優しい笑顔を返してくれた。
「心配かけて、ごめんな」
ちゃんと歩けているし、喋れている。安堵の気持ちがあふれて、思いがけず瞳が潤む。
「……かった。よかった」
晴馬はそっと手を伸ばし、美月の涙を拭う。
「俺は大丈夫だから。安心して」
美月がうなずくと、彼は今度は伊沢に顔を向けた。
「伊沢さんも、すみません。当番明けだったのに、ご迷惑をおかけして」
「いいんだよ。どうせ非番で遠出もできないし、気にするな」
美月もあらためて彼に頭をさげた。
「本当にありがとうございました」