エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
(もしかして私、火事で死……いや、違う。誰かが助けてくれたような……あの温かい手はいったい誰?)
だんだんと意識が覚醒していく。うっすらと開いた両目に明るい光が飛び込んできた。
「んっ、まぶしい」
光線を避けるように美月は反対側に首を振る。すると、少し先に人影が見えた。床の上に置かれた大きなクッションソファの上で身体を丸めて、誰かが眠っている。成人の……男性だ。
「きゃ、きゃあ」
美月は悲鳴をあげ、上半身をガバッと起こした。
(だ、誰? そして、ここはどこ?)
美月がいるのはふかふかのベッド。普段眠っている自分のシングルサイズよりだいぶ大きい。朝日が差し込むウッド調のブラインドカーテン、小洒落たシーリングファンライト、洗練された機能美を誇るPCデスクとチェア。黒とブラウンをベースにしたブルックリンスタイル風のインテリア。
カジュアルな雰囲気ではあるものの、調度はどれもこれも高級そうだ。広々としたこの寝室、あきらかに美月の部屋ではない。なによりも……目の前でクッションソファの上に丸まっている男、彼はどうして自分と一緒にいるのだろう。
かなりの長身で、身体つきもがっちりとしている。大きなクッションでも、とても支えきれないようで窮屈そうだ。
「あ、あのっ」
美月が声をあげると、ようやく彼が目を覚ました。
「……おはよ」