エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
 なにより、こんなに素敵な男性に成長しているとは思ってもみなかった。小学生時代は美月のほうが大きかったのに、今の彼は百八十センチをゆうにこえていそうな長身で、小さな顔に長い手足とスタイル抜群。アスリートみたいな肉体は芸術品のように美しくて、ついつい見惚れてしまいそうになる。

 額の見える爽やかな短髪、甘さとクールさのバランスがちょうどよい目元。少し焼けた肌に白い歯がまぶしい。

(いや……でも、面影はあるかな?)

 思えば、彼は昔から顔だけはよかった。ややトゲのある言い方になるのは過去の関係性のせいだ。小学生時代の晴馬は絵に描いたようなヤンチャ坊主で、男子たちの親分。女子のまとめ役だった美月とはなにかと対立し、犬猿の仲だった。もっとも今思えば、犬や猫の縄張り争いみたいなもので、どっちが正義でも悪でもなかったような気がするけれど。

「ほら、冷めないうちに食べるぞ」

 自ら作った食事を美月にすすめながら、晴馬も向かいに座った。

「あの、念のため確認しておきたいんだけど……ゆうべ、その、私たちって……」

 気になること聞きたいことは色々あるけれど、一番はっきりさせておきたいことから確かめることにする。

(服もそのままだったし、私ひとりでベッドを占領していたようだから……九十九パーセントないってわかってるけど)

 ここは、百パーセントの確信がほしい。でないと、食事どころではない。
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