エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
胸の奥がズキンとして、美月を当時に引き戻そうとする。だけど、向き合う勇気はまだ持てない。美月は蘇ってきた記憶に無理やり蓋をして、別の話題を振った。
「昨日の騒ぎ、どうなったの? 怪我人とかは出なかったかしら?」
「あぁ。負傷者はゼロだった。焼き肉店のダクトから火が出たんだが、従業員が気づくのも早かったし消防が到着する頃にはほとんど消火できていたな」
大きな被害がなかったと知り、まずはホッとした。それから、ふと気になって彼に尋ねた。
「ダクトから火が出たとか……そんな詳細な情報、誰から聞いたの?」
すでにニュースにでもなっていたのだろうか。
「一緒にいたやつらが初期消火に当たったから。俺は避難誘導を担当したけど」
「え? どういうこと?」
晴馬の答えが全然ピンとこなくて、美月は首をかしげる。あっと気づいたように彼は笑う。
「そっか、二十年ぶりだもんな。知らないに決まってるか」
「なにを?」
急かすように続きを促す。
「俺、消防士になったんだよ」
「しょ、消防士?」
脳内を真っ赤な消防車が走り抜ける。意外すぎる話で、美月はあんぐりと口を開けたまま固まってしまった。美月の知るかつての彼と、消防士という職業は全然結びつかない。
「え、だって、おうちを継いで重役になるんだって言ってたよね?」
子どもの頃の夢なんて変わって当然だけれど、彼の場合は少し事情が違う。
「昨日の騒ぎ、どうなったの? 怪我人とかは出なかったかしら?」
「あぁ。負傷者はゼロだった。焼き肉店のダクトから火が出たんだが、従業員が気づくのも早かったし消防が到着する頃にはほとんど消火できていたな」
大きな被害がなかったと知り、まずはホッとした。それから、ふと気になって彼に尋ねた。
「ダクトから火が出たとか……そんな詳細な情報、誰から聞いたの?」
すでにニュースにでもなっていたのだろうか。
「一緒にいたやつらが初期消火に当たったから。俺は避難誘導を担当したけど」
「え? どういうこと?」
晴馬の答えが全然ピンとこなくて、美月は首をかしげる。あっと気づいたように彼は笑う。
「そっか、二十年ぶりだもんな。知らないに決まってるか」
「なにを?」
急かすように続きを促す。
「俺、消防士になったんだよ」
「しょ、消防士?」
脳内を真っ赤な消防車が走り抜ける。意外すぎる話で、美月はあんぐりと口を開けたまま固まってしまった。美月の知るかつての彼と、消防士という職業は全然結びつかない。
「え、だって、おうちを継いで重役になるんだって言ってたよね?」
子どもの頃の夢なんて変わって当然だけれど、彼の場合は少し事情が違う。