エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
 大胆なことをしてしまった恥ずかしさが今さら込みあげてくる。顔を真っ赤にしている美月に目を細めて、晴馬は苦笑する。

「あいかわらず、甘え下手だな。全然変わってない」

 美月は子どもの頃からしっかり者の委員長タイプ。自分でなんでもやろうとしてしまうほうで、誰かを頼るのは苦手だった。

(『要領が悪い』って、晴馬によく怒られたなぁ)

 美月は上目遣いに彼を見て、口をとがらせた。

「そっちは……いつのまに、そんなモテる男みたいになっちゃったの?」

 もっとも、彼は昔からモテてはいた。クラスの女の子の大半は晴馬に憧れていたように思う。でも本人は、男の子同士で遊ぶのが楽しそうで女子は苦手そうにしていたのに。

「ははっ。まぁ、モテないとは言わないけど。でも」

 ふいに真顔になって彼は続ける。

「今のは、美月だからだ。多少強引じゃないと、お前は弱音を吐いたりしないと思って」

 美月の性格はお見通しのようだ。

「……そっか。ありがとう」
「誰にでもするわけじゃない。そこは誤解するな」

 晴馬は照れるそぶりもなく、そんな思わせぶり発言まで追加する。

(深い意味はないってわかってるけど、私が勘違いしたらどうするつもりなんだろう)

 あいかわらず女心はあまり理解していないみたいで、そういうところは彼らしかった。

「そういえば、晴馬はなんでうちのホテルにいたの?」
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