エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
 この言葉は決してお世辞ではない。ホテルで急病人が出るだけでも、あれだけハラハラするのだ。それが毎日の仕事だなんて……心から尊敬する。

「ありがとう」

 彼は少し照れくさそうに、けれど誇らしげな笑みを返した。

「それにしても、消防士さんってわりと身近な存在に感じていたけど……内情は全然知らなかったな。全員が消防車に乗っているものだと思ってた」

 晴馬もうなずき、続ける。

「それはどの職業でも同じだよ。俺も美月の仕事のこと、表面的な部分しかわからないし。ドラマに出てくるような困った客、本当にいるの?」
「それはね~」

 そんなふうに互いの仕事の話をしていたら、あっという間に目的地に到着した。モダンな高層ビルがそびえ立つ六本木の街で、ふたりは車をおりる。ディナーはお酒を楽しみたいからと、彼は自分の車を代行業者に預けた。

「行きたい店があって、もう予約してるんだけどいいか?」
「う、うん。でも、助けてもらったお礼にごちそうする約束はしたけど……私はごく普通の庶民だからね。北原一族御用達の高級レストランは払えないよ」

 恥を忍んで、そこは正直に伝えておく。世界的企業の御曹司の価値観で選ばれては困ってしまう。

「あ、今夜は俺に出させて。知り合いの店でもあるからさ……俺が見栄っ張りなの、知ってるだろう?」
「え、でも……」
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