エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
 最上階の鉄板焼きレストラン。晴馬はシェフと親しげに言葉を交わし、それから美月を席にエスコートしてくれた。

 彼が予約してくれていたのは横並びのカウンター席。目の前の鉄板はすでにジューとおいしそうな音を立てている。美月たちより先に来店していたお客さまに出す料理だろう。綺麗なサシの入った黒毛和牛に食欲を刺激される。

「わぁ、楽しみだな」
「夜景の見える個室席をすすめられたんだけど、美月は俺に口説かれるよりシェフの仕事ぶりを間近で見たがるだろうなと思ってカウンター席にした」
「口説く気なんてないくせに……。でも、お気遣いありがとう。この席のほうが嬉しいな。それにほら、夜景もちゃんと楽しめるよ」

 シェフの後ろには大きなガラス窓が広がっており、深藍色のキャンバスに都会の星がきらめいていた。

「あの晴馬と、こんな素敵な夜景を一緒に眺める日が来るとはね」

 美月の台詞に彼もクスリとする。

「まぁな。なに、飲む? まずは再会に乾杯しよう」

 シャンパンの選び方、スタッフとの距離感、テーブルマナー。さすがに晴馬は完璧で、すべてリードしてくれるので美月はなにも気にせずおいしい料理だけに集中できた。

(こういうところは、やっぱり御曹司だよね)

 彼の上流階級らしい育ちのよさが如実に伝わってくる。

「ねぇ、晴馬ってどうして私立の小学校に行かなかったの?」
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