エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
 それに、同居といってもこれだけの広々としたマンションだ。彼は美月の部屋を用意してくれたし、レスキュー隊員である晴馬の勤務体系は特殊で、四六時中一緒ということもない。

 美月はまったく知らなくて驚いたのだが、消防士は一度出勤したら丸々二十四時間働くことになるらしい。

 朝早くに出勤して翌日の朝に勤務を終える。これを当番日と呼び、翌日は非番。非番の日は家に帰って自由に過ごして問題ないが、緊急時の呼び出しにはいつでも応じられるようにしなくてはならない。会社員における休日は週休と呼ばれ、この日は完全にフリーで招集はなし。晴馬がそう教えてくれた。

 今日は非番で、朝美月を出迎えてくれたあとは自分の部屋で睡眠を取っている。いつもは夕方頃に目覚めるらしい。

「よしっ。晴馬が眠っている間に、リビングの掃除と買い出しを済ませちゃおう」

 掃除機は彼を起こしてしまう可能性があるので、モップを使うことにする。

(家賃はもらえないと言われてしまったから、せめて家事くらいはしっかりやりたいけど……実は苦手なんだよねぇ)

『仕事が忙しい』を言い訳に、これまで家事を手抜きしてきた自覚はある。とくに苦手なのが料理だ。自分ひとりなら、貧相な食卓でも少々味つけに失敗しても問題にならないが、人に食べてもらうとなれば話は別だ。
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