エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
『ひとりぶんもふたりぶんも手間は変わらないから』と、晴馬に見栄を張ってしまったけれど……まともな食事を作ることができるだろうか。

(勤務体系を聞くだけで消防士さんがハードなのはわかるし、栄養バランスに気を使わないとダメよね。え~、なに作ればいいんだろう?)

 美月は頭を抱えてしまった。

(雇われ妻のお仕事、早くも前途多難だわ)

 高価そうな調度の数々にハラハラしながら掃除を済ませ、スーパーに買い出しに行く。その前に不動産屋に寄って新居の情報ももらってきた。パールトンホテルの採用がダメだった場合のことも考えて求人情報のチェックも忘れずにしておく。

 仕事に行かなくなったら時間を持て余しそうと心配していたが、案外と忙しくあっという間に時計は昼の三時を示していた。

(わっ、そろそろ料理に取りかからないと!)

 美月は慌ててリビングルームで開いていた自分のノートパソコンを閉じる。彼が起きてくる頃に合わせて、できれば完成させておきたい。

 ジャガイモとニンジンの皮をできるかぎり丁寧にむく。玉ねぎは飴色になるまでゆっくり炒めて……。

 かっこつけて難しいメニューにチャレンジして失敗するよりはと、誰でも無難においしく作れるカレーにした。美月はチキンカレーが好みだけれど、疲労回復効果の高い豚肉を使うことにする。それから、温野菜のサラダとコンソメスープ。
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