エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
「再会から結婚を決めるまでが早すぎる気もするが……じいさんなら、逆に俺らしいと思ってくれそうだ」
「じゃあ、再会後すぐに意気投合したって設定ね」

 打合せをしながらの夕食を終える。片づけは晴馬が担当してくれた。

「風呂、ゆっくり使っていいから。美月も今日は慣れない環境に疲れただろうし、もう部屋で休んでいいよ。夫婦らしく過ごすのは明日以降にしよう」

 まだ夜七時だけれど、たしかに彼の言うとおり美月の身体は結構ぐったりしていた。それはきっと美月を迎え入れた彼も同じだろう。ひとり暮らしから、ふたりになるの大きな変化だ。

「じゃあお言葉に甘えて、そうさせてもらうね」
「あぁ」

 リビングを出ようとしていた美月はふと立ち止まる。キッチンで洗った皿を片づけている晴馬の背中に近づき、彼の着ている白いTシャツの裾を引いた。

「ん? どうした?」

 彼が振り向く。

「その、夫婦だからちゃんと顔を見て……と思って。おやすみなさい、晴馬」
「あ、そうだな。うん、おやすみ」

 言った彼の顔が耳まで赤く染まっていく。

「って、不意打ちされるとめちゃくちゃ照れるな」

 大きな手で彼は顔の下半分を覆う。晴馬の動揺がこちらにも伝わってきて、美月まで焦ってしまう。

「夫婦らしくしてほしいという、雇用主の希望に応えようとがんばったのに。ここで晴馬が照れないでよ~」
「いや、このタイミングでくるとは思ってなかったし」

 晴馬祖父の帰国はすぐそこまで迫っているというのに、こんな調子で大丈夫なのだろうか。同居初日の夜は一抹の不安とともに更けていった。
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