エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
「あらためて、こちらが羽山美月さん」

 晴馬が右手を美月のほうに向けて紹介してくれる。

「電話で伝えたとおり、彼女とはもう婚約済みで一緒に暮らしているんだ」
「はじめまして、羽山美月と申します。晴馬さんには大変お世話になっております」
「ほぅ」

 善次郎は眉根を寄せて、じっと美月を見つめる。険しいようにも見えるその表情に、美月は内心慌ててしまった。

(え、早くも怪しいと思われてる? それとも単純に北原家の嫁にはふさわしくない……とか)

 助けを求めるように視線を晴馬のほうに移そうとしたその瞬間、善次郎がニカッと満面の笑みを見せた。それから、美月の両手を力強く握る。

「わしのことは、遠慮なく『おじいちゃん』と呼んでくれ」

 さっきまでの鋭い眼光が嘘のように、キラキラと瞳を輝かせている。

「――え?」
「ほれ、見てくれ。美月さんに土産をたくさん買ってきたぞ。ドバイ名物のデーツにサンドボトル。それから女性に一番人気の純金ネックレスじゃ」

 善次郎は手元の紙袋から次々の土産を取り出し、美月に見せる。

 デーツにチョコレートがかかったスイーツ、サンドボトルはカラフルな砂が地層のようになっている、かわいい置物のことらしい。純金ネックレスはドンと重そうで、本物だとするとかなり高価そうだ。

「アラビア語で〝美月〟と書いてあるんだぞ。晴馬に名前を確認しておいてよかった、よかった」
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