エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~


「では、合否にかかわらず二週間以内にこちらからご連絡をいたしますので」
「はい。よろしくお願いいたします」

 深々と頭をさげて部屋を出ると、美月は「はぁ」と大きく息をついた。堅苦しい雰囲気ではなく終始なごやかだったけれど、それでも緊張した。

(二週間以内ってことは、採用の場合は十日後くらいかな?)

 こういう場合、不合格者より先に合格者に通知がいくものだ。どうかいい連絡をもらえますように、そう祈りながらエレベーターに乗り込む。

(あ、晴馬に連絡だけ入れておこうかな)

 彼は案外心配性なので、今も気にしてくれているような気がした。そう思って、黒い革のバッグからスマホを取り出す。誰かからメッセージが届いていた。

(あれ、晴馬だ)

【迎えに来てるよ。パールトンの一階ラウンジで待っているから】

 美月は驚いて、エレベーターが一階に到着すると同時に足早にラウンジに向かった。たくさんのお客さまで賑わっていたけれど、ひと際背の高い彼の背中はすぐに見つけることができた。

「晴馬!」

 美月が呼ぶと、優しい笑顔が出迎えてくれた。

「おつかれさま」
「びっくり。急に迎えに来てくれるなんてどうしたの?」

 美月はゆったりとしたソファ席に座っている彼に近づき、尋ねた。

「このあとは予定ないんだろ? 美月をデートに誘おうと思ってさ」
「デート?」

 想像もしていなかった単語が出て、美月は小首をかしげる。

「美月の転職成功の前祝いってことで」
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