エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
 自身のなかに芽生えたかすかな気持ち。見つめる勇気はまだ持てなくて、思いきり目を背けてしまった。
 それから彼は洋服選びにも付き合ってくれる。

「今夜は高級レストランに行く予定はないし、カジュアルで大丈夫だよ。美月はパンツスタイルも似合いそうだな」

 爽やかな水色のブラウスにデニム。いつもの美月らしいスタイルに着替えを済ませて、店を出る。

 美月の足元に目を落としながら晴馬が尋ねた。

「新しい靴、痛くないか?」
「うん、大丈夫」

 晴馬の選んでくれた靴はとても履き心地がよかった。自然と足取りも軽やかになって、このままずっと彼の隣を歩いていたい。そんな気分にさせてくれた。

「よく似合ってるよ」

 真夏の明るい日差しのもとに、晴馬の笑顔がきらめく。

(本当に、素敵な大人の男性になったなぁ)

 なんて感心していたのに……。

「えぇ? なんで美月のほうが得点高いんだ? 俺のほうがいっぱいヒットさせてたはずだろう」

 遊園地のアトラクションのシューティングゲーム。3D映像で飛び出してくるモンスターをレーザー銃で撃って倒すというシンプルな遊びだ。画面に出てきた結果を前にして、晴馬は口をとがらせている。

「命中率の差じゃない? 晴馬は無駄撃ちしすぎ」
「いや、納得いかない。もう一度勝負しよう」

 美月の返事を聞く前から、彼はもうプリペイドカードをゲーム機に差し込んでいる。
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