エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
(この負けず嫌いなとこは、全然変わってないや)

 ヤンチャなガキ大将はもういなくなってしまったのかと少し寂しくも思ったけれど、そんなことなかったようだ。

 いい天気なので、ランチは外で食べることに決めた。パラソルのついたガーデンテーブルに並ぶのは、ハンバーガーとポテト、飲みものはコーラ。

「外で食べるファーストフードって最高においしいよね」
「だな。パールトンのレストランもいいけど、こっちもうまい」

 晴馬はどんな食事も綺麗に、そしておいそうに食べる。

「いくつになっても楽しいよな、遊園地って。いるだけでワクワクする」

 大きく伸びをしながら、晴馬は満足そうにつぶやいた。

「うん、遊園地とホテルって少し似てるんだよね。特別な非日常で、そこにいる人はみんな期待に胸を弾ませてる。私はこういう空間が大好きなんだ」

 初デートっぽい雰囲気の中学生くらいのカップル、パパとママと手を繋いではしゃいでいる子ども。そんな幸せあふれる光景に美月は目を細めた。

「誰かの幸せを生み出す仕事。そう考えると、美月にホテリエはぴったりだな」
「え~、そう?」
「うん。子どもの頃もさ、なにかの実行委員とか裏方の役目をよく引き受けてた。みんなが楽しそうにしてくれるのが嬉しいって言ってさ」

 懐かしいなと、彼が笑う。

「そうだった?」
「そうだよ」

 優しい空気がふたりを包む。
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