【短編】虹色に願う放課後
アンニュイプリンスの正体
──あ、今日も来た。
本日返却コーナーの棚に本を並べながら、窓際の席に座った男子生徒をチラ見する。
梅雨入りと同時に訪れた不思議なお客さん。
さすがに5日連続はないだろうと構えていたから、つい目で追ってしまう。
「八雲さん、それ終わったら奥に来てくれる? 今から栞作るから」
「はい、わかりました」
先生に返事をして再び窓際を盗み見る。
湿気知らずのサラサラブラウンヘア、猫背気味な細身の体型。
顔立ちは控えめながらも、品が漂っていて、まるで王子様のような風貌。
彼は隣のクラスの七瀬くん。
学年10位の成績を誇る優等生だけど、気だるげな雰囲気をまとっていることから、“白馬のアンニュイプリンス”という名が付いているらしい。
最後の1冊を棚に入れ、ブックエンドを立てて作業を終える。
七瀬くんの名前を知ったのは、2年に進級した今年の春。だけど、存在は1年の頃から認識していた。
今日みたいに天気がいまいちな日は、閉館時間まで図書室に入り浸ってて。委員会の先輩によると、梅雨の時期は毎日訪れているんだとか。
たまに勉強してる時もあったみたいだけど、基本は窓際で外を眺めているのだそう。
本日返却コーナーの棚に本を並べながら、窓際の席に座った男子生徒をチラ見する。
梅雨入りと同時に訪れた不思議なお客さん。
さすがに5日連続はないだろうと構えていたから、つい目で追ってしまう。
「八雲さん、それ終わったら奥に来てくれる? 今から栞作るから」
「はい、わかりました」
先生に返事をして再び窓際を盗み見る。
湿気知らずのサラサラブラウンヘア、猫背気味な細身の体型。
顔立ちは控えめながらも、品が漂っていて、まるで王子様のような風貌。
彼は隣のクラスの七瀬くん。
学年10位の成績を誇る優等生だけど、気だるげな雰囲気をまとっていることから、“白馬のアンニュイプリンス”という名が付いているらしい。
最後の1冊を棚に入れ、ブックエンドを立てて作業を終える。
七瀬くんの名前を知ったのは、2年に進級した今年の春。だけど、存在は1年の頃から認識していた。
今日みたいに天気がいまいちな日は、閉館時間まで図書室に入り浸ってて。委員会の先輩によると、梅雨の時期は毎日訪れているんだとか。
たまに勉強してる時もあったみたいだけど、基本は窓際で外を眺めているのだそう。