【短編】虹色に願う放課後
運を良くするおまじない
王子様もどきくんこと、七瀬くんと不思議な関係を結び、放課後の図書室に集まる習慣が始まった。


初日は、省略されていた自己紹介を改めて行なった。


七瀬くんは共働きの両親との3人家族で、中3の時にこの地域に引っ越してきたのだそう。

幼い頃から1人で過ごすことが多かったらしく、弟と妹がいる私を心底羨んでいた。


その翌日は、好きなものについて語り合った。


……お察しの通り、弾丸オタトークが続いたため、ほとんど出番が回ってこず。

小学生の頃に学年で1番本を読んで、全校生徒の前で賞状をもらったことくらいしか話せなかった。


不完全燃焼に終わり、モヤモヤが残る3日目は──。



「期限は1週間となっております。返却の際はこちらの紙と一緒にお願いします」

「はい。ありがとうございます」



男子生徒に2冊の本と返却期限の紙を渡し、次のお客さんの相手をする。


週の折り返し地点、水曜日。

金曜日担当の私がなぜカウンターにいるのかというと、今日担当の生徒が体調不良で欠席だから。

なので、急遽ピンチヒッターとして駆り出されたのだ。
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