【短編】虹色に願う放課後
スクールバッグからお財布を取り出そうとする彼に、ブンブンと首を横に振って断る。


オタク魂は、まさかの祖母譲りだったとは。

振り返ってみたら、孫のために写真撮って現像するって、いくら目に入れても痛くないとはいえ、オタク気質じゃないとなかなかできないわよね。



「……強火オタクって、言われない?」

「よく言われる。ってか詳しいね。八雲さんも何かのオタク?」

「いや、下2人がオタクだから自然と覚えたの。で、他は何かやってるの? 東枕で寝てるとか、新月と満月の日に願い事唱えてるとか」

「願い事はやってるなー。こないだの新月もお風呂の中でブツブツ唱えてた。枕はその日の気分で変えてる」

「え、あっ、布団で寝てる?」

「うん。学校がある日は早起きできるように東向きで寝て、休みの日は気分で選んでる感じ。北枕は縁起悪いって言われてるけど、風水では運気アップにいいとされてるからたまに寝てるよ」



調べた情報を並べてみたけれど、彼のレベルには到底及ばなかった。


夏休みに入ったら、会わせてみようかな。

アニオタとドルオタだけど、2人とも占いは好きだからすぐ打ち解けあえそうだし。


私だけ蚊帳の外にならないように、知識をつけておこうっと。


結局その日も太陽が顔を出すことはなく、趣味トークで幕を閉じたのだった。
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