【短編】虹色に願う放課後
愛しい思い出と切ない夢
それからも、委員会の日を除いた毎日、図書室の窓辺で空を眺めた。


休日も連絡を取り合い、自室の窓から観察。天気予報と雲の動きをこまめにチェックして眺め続けた。


だがしかし、梅雨前線はそう簡単に折れてはくれず。時折雲の切れ間から青空が見えることはあったものの、太陽が顔を出すことはなかった。


どしゃ降りになっては小雨の繰り返し。

あっ、止みそうと思ったら、ゴロゴロゴロと雷鳴がしたのちに、ズドーンと落雷。


今まで聞いた中で1番激しくて、冗談抜きで心臓が破裂するんじゃないかってくらいものすごく大きかった。


家族が言うには、近所の公園に落ちたのだと。

登校する時に見に行ってみたら、木がへし折られてて、真っ黒に焦げた跡があった。


恐怖を感じたら、本当に体温が下がるんだね。
雨でジトジトしてたのに一瞬にして背筋が凍ったもん。

思わず、「住宅街に落ちなくて良かったですね〜」って、近くにいた中学生の女の子に話しかけちゃったよ。


学校に着いても恐怖は消えず。

空が唸る度に肩と心臓を揺らして。多少湿気臭くても廊下側の席を希望すれば良かったと深く後悔した。


──と、昼休みにバッタリ会った彼に話したら……。



「わー、見て見て。水たまりが虹色になってる。汚いねー」
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