【短編】虹色に願う放課後
「うん、そうね」

「あ、猫ちゃん。わー、めちゃくちゃぶすっとしてる。梅雨にゃんて大嫌いだにゃーって言ってそうだよね」

「ええ、そうね」



代わり映えしない空の下、身を縮こませて歩く。



「……そんなにビビる? 今日まだ鳴ってないよ?」

「ちょっ、まだってなによ。ってか、なにニヤニヤしてるのよ」

「へっぴり腰でガン飛ばしてるの面白いなーって」



クスクスと笑う性悪プリンスくん。
顔が真っ赤になると同時に、カーッと頭に血が上る。



「あのねぇ……50メートルよ⁉ 全速力で走っても10秒もかからない距離よ⁉ 不安に決まってるじゃない!」

「ごめんごめん。大丈夫、もし落ちたらこの傘で守ってあげるから」



キランと白い歯を見せて爽やかに笑った。


パステルブルーの傘。

王子様っぽいセリフを吐いたつもりなのだろうけど、折りたたみなのでマイナス50ポイント。

そこは普通の傘じゃないとかっこつかないよ。
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