【短編】虹色に願う放課後
雨宿りしに来てるのかな。

徒歩だろうが電車だろうが、どんな通学手段でも、雨の中を歩くのは気が進まないもの。


でも、退屈じゃない? 時間を潰してくれる本がそこらじゅうにあるというのに。見向きもせずひたすらボーッと外を眺めるって。

勉強で疲れ切った頭を休ませてる、とかなのかな。








──キーンコーンカーンコーン……。


奥の部屋で黙々と紙を切っていると、チャイムが鳴り響いた。



「八雲さん、お疲れさま。切りのいいところで上がっていいよ」

「はい、お疲れさまでした」



ドアから顔を覗かせた先生にペコッと頭を下げて、卓上時計に目を移す。


午後5時50分。最終下校時間は7時だが、図書室の閉館時間は6時となっている。


切り分けた分の栞に穴を空け、作業を終わらせて机の上をお掃除。

部屋を出ると、ガラ空きの中央テーブルが目に飛び込んできた。
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