【短編】虹色に願う放課後
ほぼ毎日交流した結果、タメ語から口答えする関係に。

2週間前の自分が知ったらビックリ仰天だろうな。


奥に進み、濡れていないかをチェック。

少しひんやりしていたため、素肌が触れないように浅く腰かけた。



「速いね。ビュンビュン流れてる」

「そうだね。この調子で全部あっちに行ってくれないかな」



風に乗って流れる雲を眺める。

ゆっくりと動く灰色の雲を、薄いグレーの雲が追い抜いていく。



「八雲さんは、これ面白〜いって思った雲見たことある?」

「ええー、面白いというより、不思議な鳥の形の雲は見たことある」

「鳥? 顔がリアルだったとか?」

「顔というか、翼? 羽ばたいてる姿で、顔の部分が太陽になってて……」



数年前の記憶にアクセスし、「こんな感じの」と実演しながら特徴を述べる。


七瀬くんのおばあちゃんみたいに、写真撮って現像して、理科の自由研究で提出したら、先生にベタ褒めされたなぁー。

雲の観察してた子は他にもいたけど、ここまでハッキリと判別できるものは珍しいって。


クラスメイトからももてはやされて、その日はアイドル気分を味わったっけ。あれが最初で最後のチヤホヤだった……。
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