【短編】虹色に願う放課後
「へぇ〜! 珍しい! 持ってるね~。やっぱ俺の目に狂いはなかった」

「なにそれ。七瀬くんは?」

「いっぱいあるけど、1番面白かったのは渦巻きかなー」



「こんな感じで〜」と指先をくるくる回している。



「……それ、台風の目じゃなくて?」

「違うよ。う……すごく美味しそうなソフトクリームで〜」

「……本当に?」

「本当だよっ。去年クラスメイトと遊んだ時に見てゲラゲラ笑い合ったから。みんなで写真も撮ったし」

「余計な情報を出すな。小学生男子かっ」



早口でツッコミを入れ、はぁ、と溜め息を漏らす。


その様子だと、男子には真の姿をさらけ出してるみたいね。

……ってことは、私は同じクラスの男子扱い?


まぁまぁまぁ、確かに学校の王子様だけど、それはファンの夢を壊さないように演じてるってだけで、そうではない人には素を見せているかもしれない。


遊びに行ってる時点で仲は良好だから、教室で一言も話さないわけではないだろうし。

クラスの女子も、薄々気づいてたりして──。



「八雲さん! 見て見て! おっきい犬がいる!」
< 22 / 43 >

この作品をシェア

pagetop