【短編】虹色に願う放課後
トントンと肩を叩かれて、彼の指がさし示すほうを見る。



「わかる? 暗いところが目で、その下が口で」

「わかるわかる。でも犬かなぁ? 私には熊に見えるけど」

「えええっ、熊ぁ? 耳立ってないじゃん」

「立ってるじゃない。ほら、色が少し違うところ」



指をさすも、視力が足りないのか、眉間にシワが寄っている。



「サイズ的にもあれは熊だと思う」

「ええー、犬にも超大型犬いるし。犬だよ」

「いーや、熊。超ビッグサイズの白熊よ」



お互いに顔を合わせ、ムッと口を尖らせる。



「犬」

「熊」

「犬っ」

「熊っ」

「あぁもう頑固だなぁ。そんなに熊熊言うならやくもんって呼んであげようか」

「も、もん……⁉ どっかのゆるキャラみたいな呼び方しないでよ! どう見たって熊にしか……」



再度指をさすと、先ほどよりも強面の白熊が。

しょうもない言い合いを繰り返している間に形が崩れてしまったようで、穏やかだった口元が牙を剥いている。
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