【短編】虹色に願う放課後
本当の願いを教えて
「──最後が、51ページの問3と問5。で、あとは?」

「現文もいい? 漢字の部分から」

「はいはい、最初からですね」



柔らかな日差しが射し込む図書室の窓際にて。
数学の教科書を閉じ、現代文の教科書を開く。


期末テストを3日後に控えた金曜日。

部活はもちろん、委員会活動もお休み。


なので、今の時間は通常閉まっているのだけど、『いつも来てくれるから特別に』と、先生のご厚意で入れさせてもらったんだ。


現在、テストに出る部分を1教科ずつ七瀬くんに教えているところ。



「優等生くんもうっかりすることあるのね」

「まぁ、俺も人間ですから。幻滅した?」

「いや、ちょっと意外だなーって」



先生の話を聞き落とす程度で幻滅なんてしないよ。

それ以前にぶっ飛び早口オタトークを聞いてますからね。耐性はついてるから。むしろ親近感湧いてるほうだよ。



「成績上位の人って、可能性がありそうな部分まで丸つけて、先生の話も一言一句聞き逃さないイメージがあったから」

「あー、確かに上位にいけばいくほど隙はなさそうだよな。でも現実はそうでもないよ」
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