【短編】虹色に願う放課後
視界を大きな手のひらが遮り、パッと隣を向くと、七瀬くんが顔を覗き込むように私を見ていた。



「っな、何」

「もう少し晴れると見れそうだよねって。顔赤いけど大丈夫? 日焼けした?」

「大丈夫、日焼け止め塗ってるから。ちょっと、その……」

「なに、いやらしい妄想でもしてたと……いたたたっ」



右肘で彼の脇腹を小突き、そっぽを向く。


自分とは違う価値観を持ってるからって、どうして頭ごなしに否定してしまったのだろう。

サンタを信じようが信じまいが、友達でい続けることはできたはず。

お互いに好みが違うだけで、人を傷つけているわけじゃなかった。


今この瞬間だって、なんやかんや言い合いながらも一緒に過ごしてるし。……友達かどうかは曖昧なところだけど。



「八雲さんっ! 見て!」



トントントンと肩を連打された。

指先をたどった先には──ほんのりと虹色に光る雲が。



「もしかして、あれが……?」

「うんっ! 絶対そう! 粘って良かった〜」
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