【短編】虹色に願う放課後
あぁ、本当に終わったんだな。

せめて最後に試験の手応えを聞きたかったな。


そんなある日、いつものように図書室を訪れたら──。



「ねぇ聞いた? 七瀬くんの転校の話」

「聞いた。県外に引っ越すんだってね」



人づてに、君が転校することを知った。


テストが終わって5日が経った頃。

梅雨明け初日、日射しが眩しい快晴の日だった。








「──どういうこと?」

「どういうことって、噂の通りだよ」



その日の放課後。

彼のクラスの下駄箱で待ち伏せし、校舎裏に連れ込んで問い詰める。



「図書室に来なかったのは、手続きと荷造りで忙しかったから」

「じゃあ、黙ってたのは?」

「……いきなり知らされたから。どう切り出そうかって、ずっと考えてた。秘密にしてたわけじゃないよ」
< 32 / 43 >

この作品をシェア

pagetop