【短編】虹色に願う放課後
七瀬くんいわく、日曜の夜に家族から告げられ、翌日、担任の先生に報告。

クラスメイトに教えたのは昨日だったという。



「俺んち、共働きって言ったじゃん? 昔からあまりかまってもらえなかったって」

「うん……。あ、だからおじいちゃんとおばあちゃんに遊んでもらってたの?」

「そうそう。母親と一緒に引っ越して、4人で住むことになったんだ」



母親と一緒に。ということは、すなわち……。



「別れた原因は仕事。……と見せかけて、実は俺」

「え? どういうこと?」

「……俺が生まれたせいで、2人に我慢させちゃったんだ」



転校に至った原因は、共働きにより、仕事と家庭のバランスが取れなくなったから。

2年前に父親の転勤で引っ越してきたそうなのだが、ちょうどその頃、母親も新しい仕事を任されていて大変だったらしい。



「家にいるとさ、いっつも喧嘩してるの。そしていっつも俺の名前が出てくるの。『俺に押しつけるのか』『あなただって押しつけてるじゃない。私だって仕事してるのよ』って。いやいや振り回される子供の身にもなってよーって毎回心の中でツッコんでる」

「……それで、図書室に?」

「うん。雨の日は2人とも機嫌が悪くなるから」
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