【短編】虹色に願う放課後
君の未来が虹色に輝きますように
「最後なのに雨かぁー」

「いいんじゃない? スピリチュアル的に雨は浄化って意味があるらしいし」

「……すっかりハマったな」

「ふふふ。おかげさまでね」



1学期の終業式を終えた放課後。

七瀬くんと2人で人気がなくなった廊下を歩く。


彼にとって最後の登校日ということで、見納めに校内を回っているのだ。


談笑しながらぐるりと一周。図書室の前にやってきた。



「んー、閉まってますねー」

「まぁ、今借りたって9月まで返せないしね」

「……鍵、持ってる?」

「ないよ。さすがにそこまで権限ない」



出会った場所、初めて会話を交わした場所。

最後に目に焼きつけたかったけど……こればかりは仕方ない。


近くの階段に腰を下ろす。



「それで、色紙は間に合ったの?」

「うん! ついさっき生徒指導の先生に書いてもらって、全部埋まった!」
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