【短編】虹色に願う放課後
「ありゃ、そんなに目立ってました? 僕」

「……はい。よく窓際の席に座っているので、印象に残ってて。すみません急に」

「いえいえ。毎回陣取ってたら記憶にも残りますよね」



クシャッと目を細めて笑った七瀬くん。

見た目と声は大人系だったけど、笑顔は甘々系の様子。


あー、これは女の子達がメロメロになるのもわかるかも。去年クラスメイトだった人は、さぞかしバラ色の1年だっただろう。

今年同じクラスの人達も、毎日ルンルン気分で登校してるんだろうなぁ。授業中も、委員会中の私みたいにこっそり盗み見てたりして。



「さっきの質問の答えですが……虹色の雲を探しているんです」

「雲……?」



ドアの施錠をし、彼と2人で階段を下りる。



「虹って、空にかかるやつですよね? それの雲バージョンがあるんですか?」

「はい。幸運の到来を意味する雲で、縁起がいいと言われているんです。本当は晴れてる時に出るんですけど、今日は夕方から天気が落ち着く予報だったので、運が良ければワンチャン見れるかなーと思って。ここ最近毎日ゴミ拾いして徳貯めてるんで。でも梅雨前線強いですねー、雲の切れ間でさえ見せてくれない。占い11位ではパワーが足りなかったかぁー」
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