エフェメラ
「緊張してる?」
しどろもどろな俺を見て、娘がそう呟いた。
「そりゃするよ。六年ぶりにあやめに会うんだし」
「だよね、私も同じ」
いたずらっぽく笑う娘は、ときどきあどけなく見える。ひよこでも、にわとりでもない、そういう段階の大人っぽさが垣間見えた。
「偕楽園までどうやって行こうか?」
「私行ったことないからわからない。連れてってよ」
そう言われてスマホを操作して場所を調べた。駅から徒歩でも容易い距離だ。長く話したかった俺は、歩いて行くことを提案した。すんなりと受け入れてくれた娘に、ほっと安心する。
駅の南口を出て、桜川沿いに千波湖を通って歩いて偕楽園まで行った。道中、色んなことを話した。カフェチェーン店の新作の味のことや、大学受験が大変だったことから、母親が元気に過ごしていること、手紙が来るのが楽しみで郵便局によく通っていたこと、新居も決まっていてようやく最近落ち着いて時間がとれるようになったということなどを話してくれた。
偕楽園の入り口の門が見えてきて、受付を済ませて中に入ると、梅の香りが広がっているのに気づいた。
しどろもどろな俺を見て、娘がそう呟いた。
「そりゃするよ。六年ぶりにあやめに会うんだし」
「だよね、私も同じ」
いたずらっぽく笑う娘は、ときどきあどけなく見える。ひよこでも、にわとりでもない、そういう段階の大人っぽさが垣間見えた。
「偕楽園までどうやって行こうか?」
「私行ったことないからわからない。連れてってよ」
そう言われてスマホを操作して場所を調べた。駅から徒歩でも容易い距離だ。長く話したかった俺は、歩いて行くことを提案した。すんなりと受け入れてくれた娘に、ほっと安心する。
駅の南口を出て、桜川沿いに千波湖を通って歩いて偕楽園まで行った。道中、色んなことを話した。カフェチェーン店の新作の味のことや、大学受験が大変だったことから、母親が元気に過ごしていること、手紙が来るのが楽しみで郵便局によく通っていたこと、新居も決まっていてようやく最近落ち着いて時間がとれるようになったということなどを話してくれた。
偕楽園の入り口の門が見えてきて、受付を済ませて中に入ると、梅の香りが広がっているのに気づいた。