エフェメラ
「どうしたの?」
「いや、なんでもないよ」
「嘘だ。耳赤くなってるもん」
俺は恥ずかしくなると、耳が赤くなる癖があった。どうやらそれを覚えていたらしい。
「あと何回会えるかなって思ったんだ」
娘に本心を打ち明けた。
「たしかに、大学も関東から離れちゃうし、就職したらこれからもう会わないかもしれないね」
でも、と娘が付け加える。
「先のことはわからないけれど、今日、久しぶりに会えて、楽しいよ、私」
顔を上げて、娘の目を見た。とても強い眼差しは決意に満ちている。
「私ね、今が一番楽しくて、今がいつも幸せ」
不安を吹き飛ばすように、にかっと笑う。
会えなくたって笑顔でいてくれればそれでいい。俺はその笑顔のために、できることをするしかない。そう思えたとき、初めて父親になれたような気がした。
「いや、なんでもないよ」
「嘘だ。耳赤くなってるもん」
俺は恥ずかしくなると、耳が赤くなる癖があった。どうやらそれを覚えていたらしい。
「あと何回会えるかなって思ったんだ」
娘に本心を打ち明けた。
「たしかに、大学も関東から離れちゃうし、就職したらこれからもう会わないかもしれないね」
でも、と娘が付け加える。
「先のことはわからないけれど、今日、久しぶりに会えて、楽しいよ、私」
顔を上げて、娘の目を見た。とても強い眼差しは決意に満ちている。
「私ね、今が一番楽しくて、今がいつも幸せ」
不安を吹き飛ばすように、にかっと笑う。
会えなくたって笑顔でいてくれればそれでいい。俺はその笑顔のために、できることをするしかない。そう思えたとき、初めて父親になれたような気がした。