アンニュイな偽カレに、愛され注意報⚠︎ (短)
「姉が遅刻しそうになって親に車を頼んでたから、便乗した」
「それって時瀬くんも遅刻しそうだったって事だよね?」
「……あ、本当だ」
今さら気づいたように、手を口元に持っていく時瀬くん。勝手に「しっかりしてる」ってイメージがあったけど、どうやらそうじゃなかったみたい。
「ふふ、なんか時瀬くんって飽きないね。はい、これ私の傘。よければ使って」
「でも沢井さんは、」
「折りたたみ傘もってるから大丈夫」
カバンの中からソレを出すと、驚いた時瀬くんの顔が目に映る。かと思えば「なんだか俺たち似たもの同士だね」と、くしゃりと笑った。
「私たちが似てる?」
「朝から雨が降ってるのに、通常傘にプラスして折りたたみ傘を持ってる沢井さん。朝から雨が降ってるのに、一つの傘すら持ってこなかった俺」
「似て……るね?」
「でしょ?」
似て非なる立場だと思うけど、という言葉は飲み込んで。一方の傘を、時瀬くんに渡す。
折りたたみ傘が私の手にあるのを見て、時瀬くんは笑みを浮かべながら、出された長い傘を受け取った。
「沢井さんのそういう所、いいね」
「それって時瀬くんも遅刻しそうだったって事だよね?」
「……あ、本当だ」
今さら気づいたように、手を口元に持っていく時瀬くん。勝手に「しっかりしてる」ってイメージがあったけど、どうやらそうじゃなかったみたい。
「ふふ、なんか時瀬くんって飽きないね。はい、これ私の傘。よければ使って」
「でも沢井さんは、」
「折りたたみ傘もってるから大丈夫」
カバンの中からソレを出すと、驚いた時瀬くんの顔が目に映る。かと思えば「なんだか俺たち似たもの同士だね」と、くしゃりと笑った。
「私たちが似てる?」
「朝から雨が降ってるのに、通常傘にプラスして折りたたみ傘を持ってる沢井さん。朝から雨が降ってるのに、一つの傘すら持ってこなかった俺」
「似て……るね?」
「でしょ?」
似て非なる立場だと思うけど、という言葉は飲み込んで。一方の傘を、時瀬くんに渡す。
折りたたみ傘が私の手にあるのを見て、時瀬くんは笑みを浮かべながら、出された長い傘を受け取った。
「沢井さんのそういう所、いいね」