アンニュイな偽カレに、愛され注意報⚠︎ (短)
偽物カップル
「ただ俺に恋を教えるのも難しいと思うからさ。彼女のフリをして、俺をときめかせてほしいな」
「え、私が彼女のふり?
っていうことは、時瀬くんは私の、」
「彼氏。のふり」
「えぇ!?」
そんなこと言われても困るよ!
「それってつまり、偽ものカップルになるってこと?」
「そうそう。その方が沢井さんも恋を教えやすいだろうなって」
「何を根拠に!?」
ハハハと笑う時瀬くんからしたら、コレは「なんて事ない」かも知れないけど。私からしたら、緊急事態中の緊急事態だよ!
「時瀬くんはめちゃくちゃイケメンで、女子から人気でしょ?だから、例えフリでもダメだよ。私なんかと噂になったら大変だし」
「〝付き合ってます〟って宣言しちゃえば?フリをするって、そういう事でしょ?」
「ダメダメダメ!」
大きな声で否定すると、すぐそばを同じ学校の女子が通った。傘越しに「なに?けんかー?」と、私と時瀬くんの仲を心配する声が聞こえる。
って言うか、私の隣にいる人が時瀬くんって気づいてない?そうか、傘があるからだ!
と思っていたのに、女子の一人が立ち止まる。