アンニュイな偽カレに、愛され注意報⚠︎ (短)
「時瀬くんの下の名前って、いちって言うんだ」
なんて言うと、友達の清水(しみず)あられちゃんが「本当に〝なる〟は男子に興味がないんだから」と呆れて言った。
私こと、沢井(さわい)なるは唇を尖らせる。
「男子に興味ないわけじゃないよ。少女漫画に出てくるような男子が好きなだけ」
「それを現実の男子に興味が無いっていうんだよ」
「え」
そうなの?知らなかった。
「でも強いて言うなら、いちくんは少女漫画に出てきそうなイケメンだと思わない?」
「え〜」
そうなのかな?
ちらっと見るも、時瀬くんは女子に囲まれていて、よく見えない。女子の群れに埋もれてるっていう表現が正しいかも。
時瀬くんは同じクラスにいるのに、私にとっては雲の上の存在だから、イマイチ「生身の男子」という現実味がない。
時瀬くんと話をする日なんて一生来ない気がする――なんて思うくらいには、接点がなさすぎる。
「ま、付き合えたら……なんて夢のまた夢よね。あんなイケメンが彼氏なんて、どれほど徳を積んでも叶いそうにないもん」
「うん。本当に、そうだよね」
チラリと時瀬くんを見る。
この間も、変わらず彼は女子に囲まれていて。高嶺の花すぎる。うん、やっぱり時瀬くんには、どこか現実味がない。
「接点なんて、一生ないんだろうな」
と思っていたのに。
なんて言うと、友達の清水(しみず)あられちゃんが「本当に〝なる〟は男子に興味がないんだから」と呆れて言った。
私こと、沢井(さわい)なるは唇を尖らせる。
「男子に興味ないわけじゃないよ。少女漫画に出てくるような男子が好きなだけ」
「それを現実の男子に興味が無いっていうんだよ」
「え」
そうなの?知らなかった。
「でも強いて言うなら、いちくんは少女漫画に出てきそうなイケメンだと思わない?」
「え〜」
そうなのかな?
ちらっと見るも、時瀬くんは女子に囲まれていて、よく見えない。女子の群れに埋もれてるっていう表現が正しいかも。
時瀬くんは同じクラスにいるのに、私にとっては雲の上の存在だから、イマイチ「生身の男子」という現実味がない。
時瀬くんと話をする日なんて一生来ない気がする――なんて思うくらいには、接点がなさすぎる。
「ま、付き合えたら……なんて夢のまた夢よね。あんなイケメンが彼氏なんて、どれほど徳を積んでも叶いそうにないもん」
「うん。本当に、そうだよね」
チラリと時瀬くんを見る。
この間も、変わらず彼は女子に囲まれていて。高嶺の花すぎる。うん、やっぱり時瀬くんには、どこか現実味がない。
「接点なんて、一生ないんだろうな」
と思っていたのに。