余命2年の王子様
#5『恋と友情と仕事』
あれから、麻里亜は、仕事に打ち込み、彰とは、メッセージのやりとりするだけで
もう1か月は、お見舞いに行けてない。
今は、このブラック企業からどう転職しようか考えたりしてる。
家に帰って暇さえあれば、スマホで転職サイトを見てる。大学時代、就活して、内定をもらったのが今の
食品会社の事務職だ。
もう務めて4年か5年になる。彰からたまにもらう【お仕事頑張ってる麻里亜は、偉いね】なんてメッセージもらったら
頑張ってしまう。
どんだけ恋愛に関して初心者なんだろう。自分と思ってしまう。
ある日の金曜日、仕事帰り、1通のメッセージが来た。
ななみからだった。
【会いたい。話を聞いてほしい。麻里亜の家に行っていい?】だった。
何事かと思って、ななみに電話をかけた。声は、涙声で
【私、夫と子供を置いて、家を置いて出てきてしまった。だから、今、麻里亜の自宅近くの
公園のベンチにいる。】
と話した。
麻里亜は【すぐ行くから!待っててね!】と言って、切って、一刻も早くななみの元へ行かなければと
走った。
公園に着くとベンチで顔を手で覆って、下を向いてないてるななみがいた。
『ななみ!どうしたの?』
『麻里亜!もう、あの人とは、もう結婚生活なんて無理!』
『落ち着いて!家においで』
麻里亜は、泣いてるななみを落ち着かせ、なだめながら自宅マンションの部屋に招いた。
『ごめんね。夕飯は、生姜焼きと千切りキャベツ、冷ややっこ、みそ汁だけど、大丈夫?
食べれそう?』
『うん。大丈夫。食べれるよ。ありがとう』
そう言って、ななみは、ご飯を食べて『おいしい!』と笑顔になった。
自分の手料理で誰かを笑顔にするなんて初めてだった。
このはじめては、彰がよかったなぁ。
と思ったが、こればかりは、仕方ない。友人を見捨てるわけにいかないから。
夕飯食べ終え、ななみが『片付け、手伝うよ』と言ったが、麻里亜は『お客様にそんなことさせられないよ』と
断ったが、ななみがどうしてもというので、洗った食器をふいて、片づけてもらうことにした。
食器の片付け場所を教えながら、いつもより早く片付けが終わった。
そして、ななみの話を聞くことにした。
暖かいココアをいれ、ななみが切り出した。
『もう由香里や真奈美から聞いたと思うけど、私、夫とうまく言ってないの。専業主婦になってから
いいこと、一つもなかった。結婚して4年目になるけど、今、3歳になる双子の娘たちは、可愛いよ。
まだ手はかかるけど。でも子供ができてから、夫は、人が変わったかのように毎日毎日『飯も満足に作れないのか』とか
『家事と子育ては、女の仕事。俺は、外の仕事で精いっぱいだ』とか言われるの。それがもう耐えれなくなって
今日、家を飛び出してしまったの。』
ななみは、思い出したのか?涙がまた溢れ出た。
それでも話をつづけた。
『私、麻里亜や由香里、真奈美みたいにバリバリお仕事したいよ。パートしながら、子育てをして、家事をしたい。
でも夫は、パートに出ることは絶対に反対だったの。
『もし嫁が仕事してたら、家が貧乏だと思われるだろう。恥ずかしいからやめろ』って言われちゃった。
姑も姑だよ。『嫁なら夫の言うことは絶対だ』なんて言うの。孫は可愛がってくれるだろうって思った。せめて孫だけでも
可愛がってほしいって思って会わせたら、『双子は、嫁に似てかわいくない』なんて言われた。』
麻里亜は、心の中で『ひどすぎる!最低。』と拳を握った。
『私のこと、侮辱するのは、別に構わないよ。でも子供たちを傷つけるのは、もっと耐えられない。
麻里亜、私、どうしたらいい?』
麻里亜は、思い切って、柚木智の弁護士事務所紹介した。
『智さん。彰が言ってたでしょ?弁護士さんだった。彰のお兄さんは、離婚にすごく強い弁護士さんなの。
ななみのこと、絶対助けてくれるよ。連絡先、知ってるから教えるよ。』
すると、ずっと沈んでたななみの顔が少し明るくなった。
『本当?ありがとう。さっそく相談してみる。』
『でもモラハラの記録とか証拠をしっかり持っておいた方がいいよ。』
『うん。一応、証拠や記録は、あるんだ。役に立つかわからないけど』
ななみは、さっそく明日にでも智の元へ電話かけると言った。
今日のところ、遅いのでななみは、夫に【友達の家に泊まるから。友達って言っても女友達だから】
とメッセージを送って、スマホの電源を切った。
夫からの鬼電やメッセージに気づかないようにと麻里亜が提案した。
ーーーーーーーーーー
翌日。
麻里亜は、仕事ある。ななみは、今日は、自宅へ帰る。
双子姉妹が心配なのだ。
『じゃあ、麻里亜。ありがとう。とても心が軽くなった。仕事、頑張ってね。』
『うん。ありがとう。』
マンションの前でななみと別れ、麻里亜は、会社へ出勤した。
『おはよう。』
『おはよう。あ、麻里亜。私、今月で会社退職する。』
麻里亜の中で一瞬、時が止まった。莉央が辞める?会社を?
『どうしたの?転職?』
『うん。実家にいるお母さんの介護が必要になってね。それで施設にいれるお金もヘルパーさん雇うにも
人がいないって言うからさ、それで私が会社辞めて、北海道の実家に帰って介護しながら、地元の会社に
転職するんだ。お父さんだけじゃ心配だし。姉は、海外で仕事しててなかなか帰ってこないからさ。』
麻里亜は『そうなんだ』とつぶやいて、席に着いた。
『どうした?元気ないよ』
『実は、私も退職しようと考えてるんだ。』
『麻里亜も?転職?』
『うん。いろいろ考えてる。』
『そっか。麻里亜ならきっともっといい会社見つかるよ。』
莉央からそう言われると、なんだか心が救われた気がした。
私は、ななみのことが心配だが、彼女なら大丈夫だろう。と思い、仕事に取り組んだ。
ーーーーーーーーーー
~石川ななみSide~
私は、22歳の時、同じゼミの先輩と交際2年の月日を得て結婚した。
同時に妊娠もわかり、23歳の誕生日前日に双子の姉妹・ほまれとたまきが生まれた。
ほまれは、天真爛漫でいつもニコニコしててかわいい。
たまきは、好奇心旺盛でいつも元気いっぱいでかわいい。
結婚する際、夫から『君に家庭をしっかり守ってほしい』って言われて、大好きだった
保育士の仕事を辞めた。
受け持ってた3歳児クラスの子供たちとその保護者から『辞めないで』と言われた。
ここの保育園と子供たち大好きだったのに。
今は、きっと年長さんくらいの年になってるだろうな。どれくらい大きくなったかな?顔つきも
どれくらいお兄さん、お姉さんになったかな?想像してもかわいい3歳の顔しか浮かばない。
ほまれとたまきが生まれてからというもの、双子育児は、想像絶するハードだった。
実家の両親は、遠くに住んでるから頼れない。
夫の両親、義母からは嫁いびりされ、義父は、1年前にこの世を去った。
夫から毎日モラハラを受け、記録のノートやボイスレコーダーで録音もした。
ばれないように私の下着が閉まってあるタンスの奥に隠してる。
夫は、妻の下着が閉まってあるタンスの引き出しだけは、絶対に開けないからだ。
ファミレスに行ったその日の夜、『さっさと帰ってこい!』『お前、嫁の仕事サボるなよ』
と言われた。電話の奥でたまきとほまれが泣いてるのが聞こえた。
あぁ、早く食べて帰らねば二人に危害が加えられるかもしれないと思ったらゾッとした。
もう精神的に限界が来てしまって、勢いで飛び出してしまったため、ほまれとたまきを置いてきてしまった。
公園で私は、母親失格だ。子供守れてないんだもの。
麻里亜の家でご飯を食べ、話を聞いてもらった時、離婚に非常に強い弁護士さんを紹介してもらった。
名前は憶えてる。柚木彰さんだ。麻里亜からも頼りになると言われてる。
私は、自宅へ帰って、夫からの暴言を何とか無視して、たまきとほまれを連れて、ビジネスホテルへと急いで逃げ込んだ。
弁護士なんて頼ったら、夫になんて言われるかと怖かったけど、麻里亜に話を聞いてもらってから
一気に『離婚』へと舵をきったのだ!
~石川ななみSide終了~
もう1か月は、お見舞いに行けてない。
今は、このブラック企業からどう転職しようか考えたりしてる。
家に帰って暇さえあれば、スマホで転職サイトを見てる。大学時代、就活して、内定をもらったのが今の
食品会社の事務職だ。
もう務めて4年か5年になる。彰からたまにもらう【お仕事頑張ってる麻里亜は、偉いね】なんてメッセージもらったら
頑張ってしまう。
どんだけ恋愛に関して初心者なんだろう。自分と思ってしまう。
ある日の金曜日、仕事帰り、1通のメッセージが来た。
ななみからだった。
【会いたい。話を聞いてほしい。麻里亜の家に行っていい?】だった。
何事かと思って、ななみに電話をかけた。声は、涙声で
【私、夫と子供を置いて、家を置いて出てきてしまった。だから、今、麻里亜の自宅近くの
公園のベンチにいる。】
と話した。
麻里亜は【すぐ行くから!待っててね!】と言って、切って、一刻も早くななみの元へ行かなければと
走った。
公園に着くとベンチで顔を手で覆って、下を向いてないてるななみがいた。
『ななみ!どうしたの?』
『麻里亜!もう、あの人とは、もう結婚生活なんて無理!』
『落ち着いて!家においで』
麻里亜は、泣いてるななみを落ち着かせ、なだめながら自宅マンションの部屋に招いた。
『ごめんね。夕飯は、生姜焼きと千切りキャベツ、冷ややっこ、みそ汁だけど、大丈夫?
食べれそう?』
『うん。大丈夫。食べれるよ。ありがとう』
そう言って、ななみは、ご飯を食べて『おいしい!』と笑顔になった。
自分の手料理で誰かを笑顔にするなんて初めてだった。
このはじめては、彰がよかったなぁ。
と思ったが、こればかりは、仕方ない。友人を見捨てるわけにいかないから。
夕飯食べ終え、ななみが『片付け、手伝うよ』と言ったが、麻里亜は『お客様にそんなことさせられないよ』と
断ったが、ななみがどうしてもというので、洗った食器をふいて、片づけてもらうことにした。
食器の片付け場所を教えながら、いつもより早く片付けが終わった。
そして、ななみの話を聞くことにした。
暖かいココアをいれ、ななみが切り出した。
『もう由香里や真奈美から聞いたと思うけど、私、夫とうまく言ってないの。専業主婦になってから
いいこと、一つもなかった。結婚して4年目になるけど、今、3歳になる双子の娘たちは、可愛いよ。
まだ手はかかるけど。でも子供ができてから、夫は、人が変わったかのように毎日毎日『飯も満足に作れないのか』とか
『家事と子育ては、女の仕事。俺は、外の仕事で精いっぱいだ』とか言われるの。それがもう耐えれなくなって
今日、家を飛び出してしまったの。』
ななみは、思い出したのか?涙がまた溢れ出た。
それでも話をつづけた。
『私、麻里亜や由香里、真奈美みたいにバリバリお仕事したいよ。パートしながら、子育てをして、家事をしたい。
でも夫は、パートに出ることは絶対に反対だったの。
『もし嫁が仕事してたら、家が貧乏だと思われるだろう。恥ずかしいからやめろ』って言われちゃった。
姑も姑だよ。『嫁なら夫の言うことは絶対だ』なんて言うの。孫は可愛がってくれるだろうって思った。せめて孫だけでも
可愛がってほしいって思って会わせたら、『双子は、嫁に似てかわいくない』なんて言われた。』
麻里亜は、心の中で『ひどすぎる!最低。』と拳を握った。
『私のこと、侮辱するのは、別に構わないよ。でも子供たちを傷つけるのは、もっと耐えられない。
麻里亜、私、どうしたらいい?』
麻里亜は、思い切って、柚木智の弁護士事務所紹介した。
『智さん。彰が言ってたでしょ?弁護士さんだった。彰のお兄さんは、離婚にすごく強い弁護士さんなの。
ななみのこと、絶対助けてくれるよ。連絡先、知ってるから教えるよ。』
すると、ずっと沈んでたななみの顔が少し明るくなった。
『本当?ありがとう。さっそく相談してみる。』
『でもモラハラの記録とか証拠をしっかり持っておいた方がいいよ。』
『うん。一応、証拠や記録は、あるんだ。役に立つかわからないけど』
ななみは、さっそく明日にでも智の元へ電話かけると言った。
今日のところ、遅いのでななみは、夫に【友達の家に泊まるから。友達って言っても女友達だから】
とメッセージを送って、スマホの電源を切った。
夫からの鬼電やメッセージに気づかないようにと麻里亜が提案した。
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翌日。
麻里亜は、仕事ある。ななみは、今日は、自宅へ帰る。
双子姉妹が心配なのだ。
『じゃあ、麻里亜。ありがとう。とても心が軽くなった。仕事、頑張ってね。』
『うん。ありがとう。』
マンションの前でななみと別れ、麻里亜は、会社へ出勤した。
『おはよう。』
『おはよう。あ、麻里亜。私、今月で会社退職する。』
麻里亜の中で一瞬、時が止まった。莉央が辞める?会社を?
『どうしたの?転職?』
『うん。実家にいるお母さんの介護が必要になってね。それで施設にいれるお金もヘルパーさん雇うにも
人がいないって言うからさ、それで私が会社辞めて、北海道の実家に帰って介護しながら、地元の会社に
転職するんだ。お父さんだけじゃ心配だし。姉は、海外で仕事しててなかなか帰ってこないからさ。』
麻里亜は『そうなんだ』とつぶやいて、席に着いた。
『どうした?元気ないよ』
『実は、私も退職しようと考えてるんだ。』
『麻里亜も?転職?』
『うん。いろいろ考えてる。』
『そっか。麻里亜ならきっともっといい会社見つかるよ。』
莉央からそう言われると、なんだか心が救われた気がした。
私は、ななみのことが心配だが、彼女なら大丈夫だろう。と思い、仕事に取り組んだ。
ーーーーーーーーーー
~石川ななみSide~
私は、22歳の時、同じゼミの先輩と交際2年の月日を得て結婚した。
同時に妊娠もわかり、23歳の誕生日前日に双子の姉妹・ほまれとたまきが生まれた。
ほまれは、天真爛漫でいつもニコニコしててかわいい。
たまきは、好奇心旺盛でいつも元気いっぱいでかわいい。
結婚する際、夫から『君に家庭をしっかり守ってほしい』って言われて、大好きだった
保育士の仕事を辞めた。
受け持ってた3歳児クラスの子供たちとその保護者から『辞めないで』と言われた。
ここの保育園と子供たち大好きだったのに。
今は、きっと年長さんくらいの年になってるだろうな。どれくらい大きくなったかな?顔つきも
どれくらいお兄さん、お姉さんになったかな?想像してもかわいい3歳の顔しか浮かばない。
ほまれとたまきが生まれてからというもの、双子育児は、想像絶するハードだった。
実家の両親は、遠くに住んでるから頼れない。
夫の両親、義母からは嫁いびりされ、義父は、1年前にこの世を去った。
夫から毎日モラハラを受け、記録のノートやボイスレコーダーで録音もした。
ばれないように私の下着が閉まってあるタンスの奥に隠してる。
夫は、妻の下着が閉まってあるタンスの引き出しだけは、絶対に開けないからだ。
ファミレスに行ったその日の夜、『さっさと帰ってこい!』『お前、嫁の仕事サボるなよ』
と言われた。電話の奥でたまきとほまれが泣いてるのが聞こえた。
あぁ、早く食べて帰らねば二人に危害が加えられるかもしれないと思ったらゾッとした。
もう精神的に限界が来てしまって、勢いで飛び出してしまったため、ほまれとたまきを置いてきてしまった。
公園で私は、母親失格だ。子供守れてないんだもの。
麻里亜の家でご飯を食べ、話を聞いてもらった時、離婚に非常に強い弁護士さんを紹介してもらった。
名前は憶えてる。柚木彰さんだ。麻里亜からも頼りになると言われてる。
私は、自宅へ帰って、夫からの暴言を何とか無視して、たまきとほまれを連れて、ビジネスホテルへと急いで逃げ込んだ。
弁護士なんて頼ったら、夫になんて言われるかと怖かったけど、麻里亜に話を聞いてもらってから
一気に『離婚』へと舵をきったのだ!
~石川ななみSide終了~