余命2年の王子様
次の日はちょうど土日で休みだったので、私は、ゆったり休むことができた。
週があけた月曜日、出勤すると、女子がやたらひそひそ話をしていた。
『ねー知ってる?神谷さん、高橋さんにストーカー行為して、懲戒解雇されたんですって』
『知ってる。高橋さん、かわいそうに。彼がいるって言ったのにね。』
どうやら神谷さんは、智さんの力で懲戒解雇になったらしい。
今度会ったらお礼をしっかりしよう。
『ねぇ、麻里亜。先週、大変だったね』
『莉央、神谷さん、懲戒解雇って本当?』
『うん。中には、左遷させられたって話もあるからどれが本当かわからない。麻里亜が無事なら
私は、神谷さんどうでもいいや』
莉央は、仕事に戻って行った。私も仕事を始めた。
ちょうど明後日。彰の手術だ。料理は、できないが、裁縫だけはできるのでお守りを作った。
私と彰で色違い。
水曜日に彰に渡すつもりでいる。
ーーーーーーーーーー
帰宅後、スマホにななみから連絡が来てた。
開くと【今から会えない?】だった。
私は【いいよ】だけ返して、ななみと18時に表参道のカフェで待ち合わせた。
カフェに行くとちょうどななみがいた。ななみだけじゃない。真奈美と由香里もいた。
話は、だいたい想像はつく。
席についてお互い食べたいもの、飲みたいものを頼んで、注文したものを待ってる間に
ななみが口を開いた。
『あのさ、麻里亜。由香里と真奈美と話したんだ。彼のこと、本当にごめん。私、軽率だったなって
反省してる。これからも麻里亜と友人関係でいたいと思ってる。麻里亜が嫌なら今日限りで友人はやめてもらたって
かまわない!』
大粒の涙を流しながら、ななみが謝った。
『私もごめん。麻里亜が好きになった人だから、きっとすごく素敵な人なんだろうなって信じてあげれなかったし、
幸せになってねって応援しなかった自分をどうか許して。』
『私も麻里亜の恋を否定して本当にごめん。素敵な彼を見つけたんだね。』
真奈美、由香里も続く。
私は、『いいよ』と言った。そして、続けた。
『彰は、すごく優しいんだ。だけど、少し怖がりで弱虫。それがすごくいいんだ。明後日、実は、手術で
私、彼のそばにいるんだ。これからも友達でいよう』
3人は笑顔になって『もちろんだよ』『ずっと味方だよ』と言ってくれた。
4人の絆が深まったころ、それぞれの料理と飲み物が来た。
『おいしいね』『また来ようね』と笑いあった。
帰り際、ななみが『彰さんの手術、成功するように祈ってるよ』と言ってくれた。
ーーーーーーーーーー
帰宅後、彰からメール来た。
開くと【ストーカー大丈夫だった?兄貴から話を聞いて心配になった。】だった。
私は、変身をすぐした。
【大丈夫だよ。あの時、偶然、お兄さんがいてくれたから助かったよ。心配してくれてありがとう】
と送信した。
彰のことだ。きっと病院で『守ってあげれなくてごめんね』と思ってるに違いない。
大丈夫だよ。私ももっと強くなるからね。
私は、お風呂に入って、静かにベッドに入ったのだった。
ーーーーーーーーーー
朝、起きると彰から返信が来た。
【無事でよかった。ごめんね。本当なら僕が守ってあげるべきなのに。】
麻里亜は、ちょっと苦笑した。彰らしい文面にちょっとホッとしたのだ。
【大丈夫だよ。私は、彰の優しいところが大好きだからそのままでいてね】
と返信した。
ーーーーーーーーーー
~柚木智Side~
先週の金曜日、奥さんの依頼で旦那さんとの離婚調停で話をしに行った。
『では、慰謝料と養育費につきましては、後日、こちらから旦那さんへご連絡させていただきます。』
奥さんは、30代前半で5歳になる男の子がいる。とても一児のママとは思えない美貌だ。
こんなきれいな奥さんとかわいい子供を置いて、不倫をするなんて。
と思いつつ、旦那さんは「わーったよ」と乱暴にうなずいた。
窓をふと見ると、見覚えのある子がいた。確か弟の入院先の病院と同室だった高橋麻里亜ちゃんだっけ?
男がいる?え?麻里亜ちゃんって弟と付き合ってなかったかい?二股するような子に見えないんだけど。
よく見りゃ、嫌がってない?様子がおかしい。これは、すぐ助けに行かなきゃいけない!
そう思った僕は、鞄をもって旦那さんと奥さん、子供に挨拶をして急いで自宅を出た。
『ちょっと。嫌がってる女性に何してるんだ。』
男は、びっくりした顔をしてこっちを見た。麻理亜ちゃんは、安心したような顔をした。
よかった。覚えててくれていた。
『誰だ?!関係ねぇやつは、ひっこめ!』
よほど興奮してるな。下手に手を出したら、余計に騒ぎが大きくなる。
ここは、弁護士として冷静に。
『柚木智(ゆずき・さとし)。僕の弟の彼女に嫌がることするなんて、弁護士として許さないよ。
会社にこの騒ぎが知られたくなかったら素直に離して立ち去ってけ!』
弁護士という単語を聞いて、男は、舌打ちして逃げて行った。
僕は、麻里亜ちゃんを安心させるために、近寄った。
涙目になって、よほど怖い思いしたんだな。よかった。依頼主の家が近くて。
『家まで送るよ。』
麻里亜ちゃんは、僕のことを信用して素直に送らせてもらった。
麻理亜ちゃんを送ったあと、僕は、麻里亜ちゃんの勤務先に先ほどの出来事を社長に話した。
弁護士として報告義務は果たしたつもりだ。
~柚木智Side終了~
ーーーーーーーーーー
麻理亜は、朝から身支度をしっかり整えた。
彰の手術の日だからだ。お守りをもった、スマホはもったと持ち物チェック念入りにした。
彰から手術は、昼の14時と聞いたので、私は、緊張してろくにご飯を食べなかった。
喉を通らなかったのだ。
家を出て、タクシーで病院に向かった。
受付に事情を話し、彰のいる部屋に通してもらった。
病室に智さんと彰さんがいた。
『麻理亜ちゃん!あれから、大丈夫だった?』
智さんが真っ先に心配してくれた。
『はい。神谷さん、懲戒解雇になったとかでいなくなってました。本当にありがとうございました。』
『よかった。』
『兄貴、麻里亜を助けてくれたんだね。ありがとう』
『たまたまさ。離婚調停で依頼主の家に来る用事あったからさ』
彰は、緊張してるのかしてないのかわからないけど、私にはわかる。してるんだ。
『あのね、彰。これ、私の手作り。お守り』
蒼いお守りを渡した。
『え?これ、もらっていいの?』
『いいの。もらってもらわなきゃ困る!成功祈願をこめて作ったの。私、料理はダメだけど
裁縫は得意なの。』
すると彰は、嬉し涙を流した。
『ありがとう。嬉しいよ。麻里亜、大事にするから。ずっと』
智さんは、微笑ましそうに見ていた。
『もうすぐ時間だ。彰、頑張れよ。』
『わかってる。絶対に成功する。』
『かわいい彼女さんの手作りのお守りもあるしな』
悪戯っ子のような笑顔で話す智さん。
あんな表情も見せるんだなぁ。
家族だし、弟だし、そうだよね。
弁護士としての顔、彰の兄としての顔のギャップに思わず、驚いた
麻里亜だった。
そして、手術の時間が迫り、看護師が迎えに来て
手作りのお守りを見て『あらまぁ』と嬉しそうに見た。
頑張れ、彰。私は、彰の手を握って、エールを送った。
週があけた月曜日、出勤すると、女子がやたらひそひそ話をしていた。
『ねー知ってる?神谷さん、高橋さんにストーカー行為して、懲戒解雇されたんですって』
『知ってる。高橋さん、かわいそうに。彼がいるって言ったのにね。』
どうやら神谷さんは、智さんの力で懲戒解雇になったらしい。
今度会ったらお礼をしっかりしよう。
『ねぇ、麻里亜。先週、大変だったね』
『莉央、神谷さん、懲戒解雇って本当?』
『うん。中には、左遷させられたって話もあるからどれが本当かわからない。麻里亜が無事なら
私は、神谷さんどうでもいいや』
莉央は、仕事に戻って行った。私も仕事を始めた。
ちょうど明後日。彰の手術だ。料理は、できないが、裁縫だけはできるのでお守りを作った。
私と彰で色違い。
水曜日に彰に渡すつもりでいる。
ーーーーーーーーーー
帰宅後、スマホにななみから連絡が来てた。
開くと【今から会えない?】だった。
私は【いいよ】だけ返して、ななみと18時に表参道のカフェで待ち合わせた。
カフェに行くとちょうどななみがいた。ななみだけじゃない。真奈美と由香里もいた。
話は、だいたい想像はつく。
席についてお互い食べたいもの、飲みたいものを頼んで、注文したものを待ってる間に
ななみが口を開いた。
『あのさ、麻里亜。由香里と真奈美と話したんだ。彼のこと、本当にごめん。私、軽率だったなって
反省してる。これからも麻里亜と友人関係でいたいと思ってる。麻里亜が嫌なら今日限りで友人はやめてもらたって
かまわない!』
大粒の涙を流しながら、ななみが謝った。
『私もごめん。麻里亜が好きになった人だから、きっとすごく素敵な人なんだろうなって信じてあげれなかったし、
幸せになってねって応援しなかった自分をどうか許して。』
『私も麻里亜の恋を否定して本当にごめん。素敵な彼を見つけたんだね。』
真奈美、由香里も続く。
私は、『いいよ』と言った。そして、続けた。
『彰は、すごく優しいんだ。だけど、少し怖がりで弱虫。それがすごくいいんだ。明後日、実は、手術で
私、彼のそばにいるんだ。これからも友達でいよう』
3人は笑顔になって『もちろんだよ』『ずっと味方だよ』と言ってくれた。
4人の絆が深まったころ、それぞれの料理と飲み物が来た。
『おいしいね』『また来ようね』と笑いあった。
帰り際、ななみが『彰さんの手術、成功するように祈ってるよ』と言ってくれた。
ーーーーーーーーーー
帰宅後、彰からメール来た。
開くと【ストーカー大丈夫だった?兄貴から話を聞いて心配になった。】だった。
私は、変身をすぐした。
【大丈夫だよ。あの時、偶然、お兄さんがいてくれたから助かったよ。心配してくれてありがとう】
と送信した。
彰のことだ。きっと病院で『守ってあげれなくてごめんね』と思ってるに違いない。
大丈夫だよ。私ももっと強くなるからね。
私は、お風呂に入って、静かにベッドに入ったのだった。
ーーーーーーーーーー
朝、起きると彰から返信が来た。
【無事でよかった。ごめんね。本当なら僕が守ってあげるべきなのに。】
麻里亜は、ちょっと苦笑した。彰らしい文面にちょっとホッとしたのだ。
【大丈夫だよ。私は、彰の優しいところが大好きだからそのままでいてね】
と返信した。
ーーーーーーーーーー
~柚木智Side~
先週の金曜日、奥さんの依頼で旦那さんとの離婚調停で話をしに行った。
『では、慰謝料と養育費につきましては、後日、こちらから旦那さんへご連絡させていただきます。』
奥さんは、30代前半で5歳になる男の子がいる。とても一児のママとは思えない美貌だ。
こんなきれいな奥さんとかわいい子供を置いて、不倫をするなんて。
と思いつつ、旦那さんは「わーったよ」と乱暴にうなずいた。
窓をふと見ると、見覚えのある子がいた。確か弟の入院先の病院と同室だった高橋麻里亜ちゃんだっけ?
男がいる?え?麻里亜ちゃんって弟と付き合ってなかったかい?二股するような子に見えないんだけど。
よく見りゃ、嫌がってない?様子がおかしい。これは、すぐ助けに行かなきゃいけない!
そう思った僕は、鞄をもって旦那さんと奥さん、子供に挨拶をして急いで自宅を出た。
『ちょっと。嫌がってる女性に何してるんだ。』
男は、びっくりした顔をしてこっちを見た。麻理亜ちゃんは、安心したような顔をした。
よかった。覚えててくれていた。
『誰だ?!関係ねぇやつは、ひっこめ!』
よほど興奮してるな。下手に手を出したら、余計に騒ぎが大きくなる。
ここは、弁護士として冷静に。
『柚木智(ゆずき・さとし)。僕の弟の彼女に嫌がることするなんて、弁護士として許さないよ。
会社にこの騒ぎが知られたくなかったら素直に離して立ち去ってけ!』
弁護士という単語を聞いて、男は、舌打ちして逃げて行った。
僕は、麻里亜ちゃんを安心させるために、近寄った。
涙目になって、よほど怖い思いしたんだな。よかった。依頼主の家が近くて。
『家まで送るよ。』
麻里亜ちゃんは、僕のことを信用して素直に送らせてもらった。
麻理亜ちゃんを送ったあと、僕は、麻里亜ちゃんの勤務先に先ほどの出来事を社長に話した。
弁護士として報告義務は果たしたつもりだ。
~柚木智Side終了~
ーーーーーーーーーー
麻理亜は、朝から身支度をしっかり整えた。
彰の手術の日だからだ。お守りをもった、スマホはもったと持ち物チェック念入りにした。
彰から手術は、昼の14時と聞いたので、私は、緊張してろくにご飯を食べなかった。
喉を通らなかったのだ。
家を出て、タクシーで病院に向かった。
受付に事情を話し、彰のいる部屋に通してもらった。
病室に智さんと彰さんがいた。
『麻理亜ちゃん!あれから、大丈夫だった?』
智さんが真っ先に心配してくれた。
『はい。神谷さん、懲戒解雇になったとかでいなくなってました。本当にありがとうございました。』
『よかった。』
『兄貴、麻里亜を助けてくれたんだね。ありがとう』
『たまたまさ。離婚調停で依頼主の家に来る用事あったからさ』
彰は、緊張してるのかしてないのかわからないけど、私にはわかる。してるんだ。
『あのね、彰。これ、私の手作り。お守り』
蒼いお守りを渡した。
『え?これ、もらっていいの?』
『いいの。もらってもらわなきゃ困る!成功祈願をこめて作ったの。私、料理はダメだけど
裁縫は得意なの。』
すると彰は、嬉し涙を流した。
『ありがとう。嬉しいよ。麻里亜、大事にするから。ずっと』
智さんは、微笑ましそうに見ていた。
『もうすぐ時間だ。彰、頑張れよ。』
『わかってる。絶対に成功する。』
『かわいい彼女さんの手作りのお守りもあるしな』
悪戯っ子のような笑顔で話す智さん。
あんな表情も見せるんだなぁ。
家族だし、弟だし、そうだよね。
弁護士としての顔、彰の兄としての顔のギャップに思わず、驚いた
麻里亜だった。
そして、手術の時間が迫り、看護師が迎えに来て
手作りのお守りを見て『あらまぁ』と嬉しそうに見た。
頑張れ、彰。私は、彰の手を握って、エールを送った。