言いたいことは山ほどある

雨でどんよりしている中、傘をさしながら取引先に向かう。

嫌だなと思いながらも、よしっと気合いを入れ直す。

目的地である会社・サーツを見上げ、意を決して中に入る。

「失礼します。明(めい)デザインの山本です。」

すると事務の稲田さんが視線をこちらに向けた。

「あぁ。」

そう言って面倒くさそうに立ち上がり

「どうぞ。」

と打ち合わせをする部屋に案内してくれる。

愛想がない返答も慣れてきた。

サーツに来るとまず事務の人に声をかけないといけない。

事務の人は2、3人いるが、その中の1人・稲田さんが苦手だった。

誰が対応してくれるかは分からないが、稲田さんにならないように願ってしまう。

しかし今日も稲田さんだった。