言いたいことは山ほどある
「…ごめんなさい。」

稲田さんはおずおずと頭を下げた。

「大切な人を傷付けないで下さい。 
これ以上傷付けたら許さないですから。」

羽山さんは稲田さんを見ていて、その表情は分からないが、思わずこちらまでゾクッと震えた。





稲田さんが立ち去り、先程の言葉が頭を占領していると

「すみませんでした。」

と羽山さんは頭を下げた。

その光景を目にし、現実に引き戻された。

「わっ。頭を上げて下さい。」

それでも羽山さんは頭を下げたまま告げる。

「嫌な思いをさせてしまって。気付けなかった…。」

鼻の奥がツーンとなる。

「本当にありがとうございました。」
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