言いたいことは山ほどある
心の中で何も言われませんようにと願う。

「ではこちらでお待ち下さい。」

打ち合わせをする部屋に案内してもらい、稲田さんが立ち去ろうとする。

すれ違いざまにボソッと呟かれた。

「雨くさいな。」

は?何?

そう思って振り返ったが、もうその背中はスタスタと行ってしまっていた。

意味分かんない!
雨降ってるし当たり前じゃん。

心の中でモヤモヤが募る。

思えば初めて稲田さんに出会ってからずっとそうだった。
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