捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
しかしギルバートは信じられない光景を目にすることになる。
アシュリーは衰弱しているのにもかかわらず力を巡り、喧嘩するエルネット公爵たち。
魔獣に対する対策を怠ったのはサルバリー王家にもかかわらず、アシュリーのせいにしていた。
劣悪な環境に今すぐにこの二人を闇に飲み込んでしまいたくなった。
彼女は傷つきながらも笑っていた。
自分が悪いと責めていたがアシュリーは何一つ悪くないことは明白だった。

(……無能なのはどちらか、思い知らせてやりたい)

アシュリーと話をしていると彼女はギルバートが怒りから握り込んでいた手のひらに食い込んだ爪痕に気づいて、力を使い治してくれたのだ。
あの時と何も変わらない。
アシュリーを守りたいと強く思った。

ロイスはあまりの惨状に学園を休学してエルネット公爵邸に戻ると言った。
ギルバートも一緒にいたかったが立場故に難しい。

そしてずっと危惧していたことが起こる。
やはりサルバリー王家は禁術を持っている魔術師と接触していたようだ。
そこで異世界から少女を召喚した。
サルバリー王国から受け取った大金は逃亡資金にするつもりらしい。
引き渡しを要求するも魔術師を渡すことはなかった。

(バカな奴だ……禁書と禁術に手を出すなんて)
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