捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
(本当に俺のことを愛しているならば、あれくらいのことで去ってはいかないだろう!?縋り付いて媚びていれば愛妾くらいにはしてやったのに……)

ユイナに心変わりしただけで、泣きながら去っていったアシュリー。
どんなに冷たい態度を取っても王宮に通い続けていたアシュリーだったが、あの日を境にピタリと姿を現さなくなった。
愛を育む姿を見て、悔しく思ったのだろう。
絶対的な地位が揺らいだことを受け入れられずに絶望したに違いない。

しかし、あっさりと帰ってしまったのは予想外だった。
もっと王太子の婚約者の座に執着を見せるかと思いきや、アシュリーは涙こそ流していたものの、他に何も言うことはなかった。

(まぁ、あの女はただ笑っているだけで特に何も言うこともないだろうが……)

満面の笑みを浮かべ機嫌が良さそうな父と母に話を聞けば、アシュリーに「お前に用はない」「役に立たない」とオースティンと同じようなことを言ったようだ。
< 108 / 240 >

この作品をシェア

pagetop