捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
(もしかしたら……私も次に力を持った人が現れたら捨てられるの?)

ユイナは自分の震える両手を見た。

しかし、その兆候はもう出始めているのではないだろうか。
オースティンは「ちゃんとしろ」と辛く当たることも増えてきた。
いつもオースティンが苛立っているのは、気の所為ではないはずだ。
城の人たちにも影で色々言われていることはユイナもわかっていた。

『オースティン殿下もわたくしが幼い頃は優しかったわ。でも次第に当たりが強くなって……道具のような扱いになっていったの』

徐々に力が弱くなっているは気になっていた。
オースティンの苦しむ顔を見てユイナは責任を感じていたからだ。
だから自分なりにオースティンを気遣ってアシュリーに何か解決方法がないのか聞きに行った。

アシュリーは色々なことを教えてくれた。
恐らく、皆が教えてくれないようなことを同じ立場にいるユイナのためを思って言ってくれたのだろう。

(アシュリー様は私のことを気遣って色々と教えてくれたんだわ!王宮の人たちとは全然違う。なんて良い人なの……!)

それにユイナが一番気になっていたのはアシュリーのこの言葉だった。

『それに……ある時、気づいてしまったの。この力は、わたくし自身を犠牲にしているって』

その言葉に衝撃を受けた。
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