捨てられた聖女の復讐〜みんな大っ嫌い、だからすべて壊してあげる〜
『両親はわたくしを金儲けの道具にしていたのよ……次々にエルネット公爵邸を訪れる人々にずっと休みなく治療をして、国のためにと結界を張り続けていたわ』

そして今、ユイナも数えきれないくらい色々な人たちの治療を行っている。

(アシュリー様は力を乱用したからダメになってしまったってことよね……?)

ユイナは自分の力が役に立つのならと自ら治療を望んだこともあったが、オースティンは「ユイナが大切だから」と、なかなか治療をさせなかった。
他の貴族たちを治療する時も国王や王妃はとても嫌そうに渋っていたことを思い出す。

もしもアシュリーの言ったことが本当で、そんな理由があるのだとしたら……。

ユイナはブルリと身震いをして、自らを抱きしめるように抱きしめた。
自分の命が脅かされていると感じたからだ。

『その後、一方的に婚約破棄された後にお父様とお母様からも罵られて暴力を……』

アシュリーは相当、つらい環境にいたに違いない。
けれどそれはユイナも同じだった。
知らない世界、知らない人、知らない文化。
懸命に頑張るけれど、今までと求められるものがあまりにも違い過ぎると感じていた。
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